虎屋十七代目の黒川光博氏の著作・
「虎屋 和菓子と歩んだ五百年」を購入、読み終わりました。
日本でトップクラスの和菓子店・虎屋黒川の歴史と将来について
黒川光博氏のコメントがつづられていました。
虎屋は現在わかっていることは
中興初代・黒川円仲(えんちゅう)氏が当主だった慶長2年(1598年)・
安土桃山時代以降のものしか無いそうです。
なんでも、
関ヶ原の合戦後の敗将が虎屋をしたってやってきたそうです。
一方、虎屋は敗将を匿いその後の徳川家康が全権を掌握するのを見て過去の記録を一切処分したとのことです。そのため、黒川家がいつ羊羹を作り始めたか?ということの記述が無く、黒川家でもいつなのか?ご存知ない状況らしいです。 何でも
平城京のころから
御所に出入りしていたとの説があるそうです。
しかし、
黒川円仲の時代以降は比較的詳細に記録されているようです。
有名所では
先の副将軍・水戸光圀公、
熊本細川家、カステラを発注したハイカラな面があった
吉良上野介が記録されているそうです。
お武家以外にも
明治天皇、
大正天皇陛下からも注文があり今でも
皇室御用達を勤めていらっしゃるようです。
お客は公共関係からは
旧日本軍や
南極越冬隊からも注文があって特注の缶入り羊羹が作られたそうです。 厳しい環境で羊羹は
癒しや
極限状態でのサバイバルフードになったそうです。
明治以降は朝廷、上流階級と販路を広げ
大正時代から店頭での販売の開始(それまでは特定の顧客から注文を受けた)、戦後に今の
池袋東武(東武百貨店池袋本店、当時は池袋東武会館)から始まったデパ地下でも出店するようになったようです。
過去ばかりでなく未来についての展望も記述されていて
パリ店出店の話や若い女性をターゲットにした
TORAYA CAFEなどいろんな人に受け入れられる
「高級和菓子店」を目指されているのがわかります。
羊羹を通した社会の変化を簡明に記述されていて興味深い内容でした。羊羹が好きな人は是非ご覧になってはいかがでしょうか?